一昨年、今回のロブロイと同ローテで単勝2.1倍の断然支持を集めながら5着に沈んだのが、厩舎の盟友シンボリクリスエスであった。しかし、当時の敗戦には確固たる陣営の誤算があった。「仕上がり過ぎ」を考慮しすぎるあまり、調教を軽減させすぎたのだ。これは藤沢調教師自らの敗戦の弁でもあった。
今回のロブロイはクリスエスとは明らかに違う。逆に心配するくらいの豊富な調整過程だ。走りの中に見せるあの耳と背中には、獲物を狙う静かなる”ハンター”の気配さえ漂わせている。ゼンノロブロイは負けない。クリスエスと同一ローテでの参戦こそが藤沢流のリベンジ。つまりは自信の証なのである。
名伯楽というと西の松田国調教師も思い出す。クロフネ、タニノギムレッド、そして昨年のキングカメハメハと、NHKマイルC、日本ダービーの変則2冠へ挑み続けた西の名伯楽だ。師の念願は昨年、キングカメハメハによって見事に完結へと導かれた。つまり、競馬という勝負における”名伯楽のリベンジ”には底知れぬ調教師としての執念があるのだ。こと馬券という意味でも、調教師のさまざまな思惑を探っていくと、意外な所に的中へと繋がる重大なヒントが秘められている。現実に私も、調教師の競馬観、レース前後のコメント、レースに挑む管理馬の調整過程の比較などをファイリング化している。
所詮、馬は人間の管理、制御の元に人間が仕上げ、そして人間が走らせるのだ。つまり、馬の管理人(調教師、厩舎)の性質を知らずして競馬(馬券)に勝ちは無い。
宝塚記念にもう一人、執念を感じさせる調教師がいる。リンカーンを送り出す音無調教師だ。無冠の大器リンカーン。その前走、天皇賞にて1番人気に支持されたものの6着に沈んだ。レース後に師は騎乗した福永に対し、顔を紅潮させ厳しい口調でレースでの騎乗法を責めた。それだけデキに自信があったのだろう。個人的にはリンカーンの実力は?が付くとは思っている。しかし騎手にとって調教師からの言葉は何より重い。なにか今回、福永の音無調教師への仁義を感じるのだ。調教師の執念と騎手の仁義を背景に感じる今回のリンカーンは怖い。
宝塚記念の最終結論。
◎ ゼンノロブロイ
○ タップダンスシチー
▲ リンカーン
△ アドマイヤグルーヴ
もう一鞍。福島10レース 白河特別の◎スノースタイル。(単複)美浦坂路での動きが抜群だった。坂路での馬の動きにバネを感じるというのは、よほど馬のデキが良い証拠なんだよね。
坂路で乗られている”夏の短距離専用牝馬”は怖いよ!福島9レース開成山特別の◎マイネルナターレ、福島11レース福島テレビオープンの◎ダイワジアンあたりのウット好調教馬も単複中心に少々狙いたいね。
→記事説明書 →過去の記事
|